「街頭紙芝居」は1930年に始まった元祖紙芝居です。
絵師が一枚づつ描いた肉筆の絵画10枚が1巻で、連続物なので「この続きはまた明日のお楽しみ!」というお決まりのせりふに、子どもたちは翌日も小銭を握って走ったのでした。
「黄金バット」が登場してあっという間にひろまったこの娯楽は子どもの教育によろしくないというPTAなどの反対をよそに、1940年頃には一般的になりこれらを「教育紙芝居」と呼んだのは皮肉なことです。
今回は、人形劇の図書館所蔵のコレクション500巻以上の中から特に貴重な街頭紙芝居の数々を展示。
この展示は、2019年9月、フランス・シャルルビルメジェールの世界人形劇フェスティバルで高い評価を得た「VOYAGE DE KAMISHIBAI」での展示をもとにしています。
当日展示予定の作品の中から少しご紹介します。 どれも時代を感じさせる画風がインパクトありますね〜!
「珍野珍十郎」人形劇の図書館蔵
時代的紙芝居の中でも書き込まれた緻密な絵が魅力的。
ユニークな紙芝居で知られる神港画劇協会の制作で、何よりもオリジナリティあふれる絵と物語はスリルとサスペンス満載だった。
「とっちい1」人形劇の図書館蔵
副題が「大昔の人びと」石器時代の少年とっちいを主人公にした冒険もの。
全25巻は当時としては短め。
ストーリーが富士山の大爆発から始まるなど興味深い。
制作・画劇ひかり社(東京・台東区)
「真田小勇士」人形劇の図書館蔵
あの「真田十勇士」をモチーフにした剣劇時代劇で、少年たちに大人気だった。
毎回の結末が「この続きは明日のお楽しみ!」と期待させてくれる街頭紙芝居の定番中の定番!大阪画劇社制作の大人気シリーズ。
人形劇の図書館
人形劇・トロッコが設立・運営し30年を越えた、日本では唯一の人形劇の専門図書館であり研究所です。
蔵書は人形劇とその周辺で13000冊、資料は数万点。
図書目録は2013年に約1万点をデータベース化、それ以外にも膨大な資料類が保存されています。
事前の確認が必要ですが、学生や研究者はもちろん、興味ある方の利用はレファレンスも含め常時受け付けています。
コレクション展を各地で開催しており、現在、傀儡師の故郷でもある西宮神社で年2回程度の企画展を定期開催しています。
*Webでは「人形劇図書館目録」の検索でデータベースがご覧いただけます。
http://www.o-iri.com/puppetlibrary/
人形劇の図書館
住所:滋賀県大津市坂本8-22-15
TEL:077-578-5455
FAX:077-578-5662
※開館は不定期ですので、事前にお電話・FAXでご予約の上、お越しくださいませ。
潟見英明(かたみえいめい)
人形劇の図書館館長、人形劇・トロッコ主宰
1948年、京都生まれ。1971年に「トロッコ人形劇場」を創立(1975年~人形劇・トロッコ)し、50年以上、日本国内のみならず世界16ヵ国100万人以上の子どもたちを中心にファンタジーを届けている。
人形劇研究者として、1991年から「人形劇の図書館」を開設しているほか、京都女子大学等で「児童文化活動論」の講師も務める。